2022年2月3日

ZEB readyの基準と定義

ZEB(ゼブ)とはNet Zero Energy Building次のように定義

■建築設計によるエネルギー負荷の抑制
■パッシブ技術の採用による自然エネルギーの積極的な活用
■高効率な設備システムの導入等
■室内環境の質を維持しつつ、大幅な省エネルギー化を実現
■再生可能エネルギーを導入することにより、エネルギー自立度を極力高めていきます。


年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロとすることを目指した建築物

これがZEBの姿であるが、一気にそれを実現するのは難しいので

1「ZEB ready」:ZEBを見据えた先進建築物として、外皮の高断熱化及び高効率な省エネルギー設備を備えた建築物:再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から、50%以上の一次エネルギー消費量を削減した建築物

2「Nearly ZEB」:ZEBに限りなく近い建築物として、ZEB readyの要件を満たしつつ、再生可能エネルギーにより、年間の一次エネルギー消費量をゼロに近づけた:「ZEB ready」の基準をクリアし、基準一次エネルギー消費量から75%以上100%未満の削減(再生可能エネルギーを含む)

3「ZEB」:年間の一次エネルギー消費量が正味(=ネット)ゼロ、またはマイナスの建築であり「ZEB ready」の基準をクリアし、基準一次エネルギー消費量から100%以上の削減(再生可能エネルギーを含む)となっています。



結論的に現在のエネルギー消費量を省エネ基準の50%以下まで削減するのが「ZEB ready」、25%以下まで削減するのが「Nearly ZEB」、0%以下まで削減するのが「ZEB」である。

これから分かる通り、「ZEB ready」とその後の二段階とでは、「再生可能エネルギー」を使うか使わないかという点でも異なっている。
つまり、「ZEB ready」はあくまで「省エネ」を進めることでエネルギーの消費量を減らすもの。

言い換えれば、いま使っているエネルギーを減らすものである。

後の二段階はそれにプラスして「創エネ」、つまりエネルギーをつくってそれを利用することで、さらに消費量を減らそうというもので、より積極的な進め方である。。

建物省エネ法の背景

省エネは、1973年の第1次オイルショック以降、世界的な政策課題となり、日本でも1979年に省エネ法を制定。1993年の改正では基本方針の策定と対象の事業者に定期報告が義務づけられ、1998年にはトップランナー制度(住宅について)を導入されている。
※「住宅事業建築主の判断の基準」が定めてあり、年間150戸以上を供給する事業者は一次エネルギー消費量の基準達成率平均が100%を下回らないように求められている。
国土交通省への達成率の報告義務や罰則規定が設けられており、大手建売事業者では、ほぼ達成されています.

また、届出義務制度があり300㎡以上の住宅の新築等において所管行政庁への省エネ計画の届出を義務づけられています。届出に係る計画が省エネ基準に適合せず、省エネ性能確保のため必要があると認めるときは、計画の変更等の指示・命令がされます。

改正建築物省エネ法(非住宅)   改正建築物省エネ法(令和元年月日公布)
従来より運用されている「適合義務」「届出義務」に加え、法改正より新たに「説明義務」が追加されています。


1.適合義務制度とは?

300㎡以上の建築物(非住宅)の新築等において、省エネ基準に適合させる義務があります。
■建築確認済証交付前に「省エネ適合判定通知書」を提出
省エネ適合性判定についての申請は、建築基準法の建築確認申請と連動して実施するものです。建築主が、所管行政庁または省エネ判定機関により省エネ適合性判定を受ける必要があり、省エネ基準への適合が確認できれば、適合判定通知書が発行されます。建築主が、指定確認検査機関等に、この通知書を提出後、建築確認済証が交付されます。
また、完了検査時においても、省エネ基準への適合性の検査が行われます。設計図書等の通りに工事が実施されていないと、検査済証が発行されないので、あわせて注意が必要です。
いずれも計算方法は、標準入力法で所定のBEIを満たす必要がありますので、省エネ適判においては工事監理や審査の上からモデル建物法※での評価が多い。


省エネ計算及び評価

標準入力法   建築物のエネルギー消費性能計算プログラム(非住宅版)Ver3.1.3

モデル建物法  モデル建物法入力支援ツール(平成28年省エネ基準用) Ver 3.1.2

いずれも計算方法は国立研究開発法人建築研究所Web上で「建築物のエネルギー消費性能に関する技術情報」で公開されています。


モデル建物法は建物用途ごとに形状や室用途構成などを仮定したモデル建物に対して、実際に設置される設備機器等の仕様を反映させることにより、BEI及びBPIの値を算出する方法です。具体的な設計・基準一次エネルギー消費量、PAL*の値は表示されず、BEI及びBPIが各制度の水準以下であることを確認する方法です。なお、BPIとはPAL*の設計値を基準値で除したものです。
一般的には、簡易的な方法であるモデル建物法を用いますが、ZEBの補助金申請を行う時や、より良い結果を求めたい場合は、標準入力法も検討も必要です。
一次エネルギー消費量については、モデル建物法に比べ標準入力法の計算結果がかなり良い事も有る様です。
標準入力法は全ての室を評価しなければならず、手間はかなりかかりますが、その分設備機器の効率等が細かく評価することが出来ます。
室の設定等により結果が左右されることもあり、これに関しては状況に応じて対応する必要があります。



BEI(省エネルギー性能指標)とBPIは

非住宅建築物の省エネルギー性能を評価する指標の考え方。Building Energy-efficiency Indexの略。既存建築物への適用、省エネルギー基準との整合性などに配慮され、標準的な評価指標としてつかわれている。評価は、設計一次エネルギー消費量/基準一次エネルギー消費量、に基づいて行ない、旧省エネ基準等からの読み替えが可能となっている。

PAL*(パルスター)は、各階の屋内周囲空間(ペリメータゾーン)の年間熱負荷[MJ/年]をペリメータゾーンの床面積[m2]の合計で除して得た数値で、単位は[MJ/m2/年]です。 そして、建物用途別に地域ごとに定められた判断基準値以下であることが求められます。